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ヒヤシンスハウス

更新日:6月26日




今から90年近く前のこと

詩人であり、若き建築家でもあった

立原道造が小さな小屋のスケッチを描いた。


それは立原が詩作や設計で多くの時間を過ごした

自宅の屋根裏部屋ほどの広さの、 彼自身のための別荘で

「HAUS HYAZINTH」という名をつけた。

しかし、翌年に立原道造は肺結核によって

スケッチした別荘に取り掛かる時間さえ与えられず

わずか24歳にして早逝してしまう。


2004年11月

建築家や文芸家の呼びかけをきっかけに

集まった全国からの寄付によって

ヒヤシンスハウスは

立原の没後65年を経て完成した。



それからさらに20年が経ち

初めて訪れた、その小さな別荘は

緑豊かな湖畔にすっかり馴染んでいた。


緑色の扉を押して中へと入ると

大きく開いたコーナーの窓のおかげで

外に視線を導かれて、その空間が

5坪にも満たないことを忘れさせてくれる。


50代半ば頃からだろうか 記憶の厚みと比例して増えていった持ち物を

減らすことを意識するようになってからというもの

程よい広さとそれに見合うモノはどれ程だろうか…

と、そんな問いかけが今も続いている。

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